Web上の縦書きの国際標準がついに完成に近づく(W3C)

世界中のウェブ技術者など約700人が集まって9月16日から福岡市で開催されたW3C(ウェブ技術の国際標準化組織)年次技術総会で、日本語の縦書きが正式な技術仕様書として完成し、標準提案として認められるよう審議する事が決まりました。

福岡県で、2019年9月16日から1週間にわたり開催されたW3C TPAC (World Wide Web Consortium Technical Plenary Advisory Committee Meeting) 内のグループ、CSS WG(Cascading Style Sheet Working Group) において、9月17日、ウェブ上の縦書き仕様(ライティングモード・CSS Writing-Modes) が勧告案 (Proposed Recommendation)となりました。これで年内にも縦書きの勧告化 (W3C REC・Recommendation)実現が現実のものとなります。

 

W3Cで各国の文字や画像のレイアウトを定めているCSSワーキンググループが提案した縦書きモードの技術標準が採用されれば、世界中のブラウザがこれまで難しかった日本語の表示に対応していくことになります。

 

日本は官民をあげて過去10年以上、縦書き表示ができるようにCSSの活動を支えてきました。CSSグループからは「日本のみなさま、大変お待たせしました」というメッセージが出され、総会会場から拍手で迎えられました。W3Cの技術総会は毎年、北米、欧州、中国、日本で順次開かれており、昨年はリヨン、一昨年はサンフランシスコ、2016年はリスボン、2015年には札幌で開催されています。

ウェブ上の縦書き仕様とは、ウェブ画面上の縦書きを含むさまざまな文字や行の向きを定義する仕様です。世界的に見れば、縦書きは殆ど日本固有の文化となっていますが、他にも下から上へと表記する言語など、様々な文化、言語が存在しています。日本は、これまで10年以上に渡り縦書き仕様に対する情報提供やブラウザでのテスト結果の提供などを行い、勧告化に向けたサポートを行ってきました。この度、日本で開催されているTPACで、ついに勧告化への道筋がはっきりと見えたことは大変喜ばしいことです。

縦書きの標準化は、単にウェブ世界標準のなかに様々な文化・思考形態を表す言語や組版レイアウトの多様性を内包させたという文化的な側面以上に、全世界のウェブ技術者や技術団体が、標準化の中で文化や価値の多様性を担保・表現することが必然であることを実感したということにも意味があります。その背景には当然、縦書きを可能にする技術仕様開発と、その実装に必要なモデルが提示されたことです。現実に全世界を見れば様々な組版・表記の文化が息づいており、その文化の多様性を標準化の文脈のなかでスポイルすることなく、実装サポートによって文化的価値を守る事が重要だとウェブのコミュニティ全体が認めたことが大きな要因だと言えます。縦書きの勧告案採択がウェブ技術発展の上で単なる効率化・標準化だけでなく、文化の多様性を内包するという方向性をウェブが志向していることをはっきりと示したことに大きな意義があります。

日本の出版界としても、慶應義塾大学SFC研究所・Advanced Publishing Lab.(サポート企業:KADOKAWA、講談社、集英社、小学館、メディアドゥ)の活動を支援し、ウェブを前提にした日本語表記のあり方を研究し、今回の縦書き標準化にも貢献できたことを誇りに思っています。

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【本件のお問合せ先】

W3C (World Wide Web Consortium)

URL: https://www.w3.org/Consortium/contact-keio-ja.html

E-mail: keio-contact@w3.org

APL (Advanced Publishing Lab)

URL: https://www.aplab.jp/

E-mail: aplab@awa.sfc.keio.ac.jp

↓はW3C Publishing Business Group会議で会場のスクリーンに表示された、策定を主導したElika Etemad(fantasai)氏とFlorian Rivoal氏によるメッセージ。