第3回 出版の可能性

開講日: 2018年10月9日

​講師:吉井順一、加藤文俊

これからのパブリケーションの可能性について、課題について(グループ分け)

第3回となる今回は、前回に引き続き講談社の吉井順一氏より講義が行われた。

 

【制度疲労】

書籍は、ベストセラーよりロングセラーの利益率が高い。ベストセラーは普段は本を読まない人が買うことによって生まれる。 雑誌は、広告収入への依存度が高まっている。部数減+広告減+返品率上昇で疲弊が進む。今までは行き便(出荷)と帰り便(返品)で帳尻があっていた。

流通に関しては、デジタル化によって環境が激減した。いつでも更新ができるため、「締切」が無い状態。広告に関しては、通常の特集記事とスポンサーとのタイアップ企画の境目が不明瞭になった。

 

【出版業界は「裸の王様」】

他メディアとの競合は進む。メディア接触時間4時間24分のうち、90%はスクリーン(スマホ、PC、TV)が占める。どういったコンテンツを、どういったインターフェースで提供するのか、多様化が進む。

新聞は、購読者までのラストワンマイルを販売店という形で専有している。これを活かすことができれば新しいことができるはずだが、現状の構造では見込めない。

 

【ポスト・トゥルース時代の出版】

「知りたくないけど知っておいたほうがいいもの」をどうやって伝えるか。 2017年の「まとめサイト」問題、2018年の休刊事件等、情報の価値が問われる事案は日々起きている。出版社においては校閲等のチェック体制は整備されており、表現や細かい矛盾まで指摘するほど。莫大な投資をしている。

 

「最近、ツイッター等、ネット上でのコミュニケーションに疲弊・あえて忌避し始めている向きもある」(加藤教授)

「マス=大衆という概念が解けているのかもしれない。その結果が『のっぺりしたなにか』。炎上は長続きせず、あっというまに消費されてしまう。「深める」という作業ができない」(吉井氏)