第2回 マンガの歴史とそれを取り巻く環境

開講日: 2019年4月16日

​講師:吉井順一

本日の講義の吉井氏より、前半は漫画の歴史、フォーマットの変容が語られ、後半はマンガの制作をとりまく環境について語られた。

日本の伝統的なマンガである「鳥獣戯画」は、巻物の上に線画で描かれていたが、技術の発展とともに、黄表紙に文字・挿絵を用いたものになり、幕末に印刷技術とペン・インクを用いた画法が伝わると洋紙にインクで書かれたものが増えていく。

江戸幕末では、マンガ題材は講談や落語など、聴覚的娯楽を紙や文字に落とし込んだものが多くあった。当時のマンガは子どもよりも親や先生が読むものであり、サラリーマンにも人気であった。この頃から、一ページに一つの挿絵と短い文で作られていたマンガに、コマ割りと吹き出しが生まれる。

また大正・明治時代では、雑誌の主役はマンガよりも読み物であった。マンガは主に「婦人倶楽部」や「主婦の友」の付録に収録され、短編作品が多く、長編のストーリーものはまだ存在していなかった。

戦後からは、「新寶島」などの本格的なストーリーを扱うマンガが多く増えていく。この頃のマンガは、モノクロの表現手法とページ構成が中心とり、「編集者・作家・アシスタントの権利関係よりも、面白くて売れる作品を!」が制作の大きなコンセプトであった。マンガが、親や教師が読むものから、親や教師の目を盗んで読むものとなったのもこの時代である。また、カット割りに遠景・暗転・ズームインが見られるなど、映画表現の影響を大きく受けていることがわかる。

このように時代とともの迎合・抵抗をしてきたマンガの制作は、マンガ家とアシスタントとの分業が一般的であり、分業の度合いはマンガ家によりけりである。また、出版社・編集者はマンガ家に寄り添い、才能を守り育てながら、マンガの商品化の過程においては新企画の起案を行うなど、マンガ家の支援において重要な役割を果たしている。