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第1回 イントロダクション

開講日: 2017年9月26日

​講師:村井純、加藤文俊

初回となるこの日、60人を想定していた授業にも関わらず、200人以上の生徒が駆けつけ、出版に対する学生の関心度の高さが伺えた。

この日のテーマは、イントロダクション。APLの活動内容、そしてこの授業が始まった経緯について紹介が行われた。

​加藤文俊 環境情報学部教授

加藤教授からは、出版業界の現状として、紙以外の電子出版の領域が拡大していること、しかしそのための再編に寄与できる「出版」と「Web・IT」の両方を理解している人材が不足していることが紹介された。また高い関心があったことに対して、受講者の中から次世代の出版を担う人材が出て来て欲しいと、熱いメッセージが送られた。

村井純 環境情報学部教授

続いて村井教授から、なぜ出版の話に先生自身が取り組んでいるのか、その理由について説明があった。

過去の事例として、インターネット黎明期、Cというプログラミング言語において、文字は256通りまでしか扱うことができず、また、

メールを日本語で送る際には一度英語に翻訳する必要があった、というエピソードが紹介された。これは当時のパソコン・インターネットのコミュニティが如何に英語前提であったかを示しており、256文字では当然日本語の平仮名・片仮名・漢字を扱うことができず、他にも扱えない言語があった。インターネットを世界に広めるためには、この問題を解決し、言語的な多様性を高めることが不可欠だったため、彼自ら日本語の設計についてレクチャーをしてきたこと。そうしてダイバーシティの実現に成功したインターネットと、出版が結びつきだした中で、インターネット黎明期と同じように、電子出版における日本語の問題について、問題を発見し、世界に訴えかけ、解決していく、コミュニティに貢献できる人材が必要だ、というメッセージだった。

授業後半では受講生からの質問コーナーが設けられ、出版というメディアとそのコンテンツの関係、書籍というものをどう捉えているのか、など、多くの疑問が寄せられた。

特に議論を呼んだのは、「出版 と publication」の違い、というテーマで、日本語における「出版」よりも、英語における「publication」の方が、意味するものの範囲が広く、それにより日本の出版業界が、狭い範囲に縮こまっている、という学生の問題提起から起きた議論だった。これについて講師陣から、書籍とWebだけでなく、ワープロや、illustratorなど、ドキュメントを作成するもの次第で、斜体や太字、ドロップシャドウのような、使える文字効果は違い、表現が変わる。これにより書籍・出版以外の場所で生まれた表現が、いくつか逆輸入的に書籍でも使われるようになっている、という事例が示され、APLとしても出版という言葉の意味の拡張、そして取り組みを拡げていくことを目指していることが紹介された。

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