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第5回 出版をめぐる機能

開講日: 2017年10月24日

​講師: 岡田秀樹

5回目の今回は、豊国印刷の岡田秀樹氏をお招きし、出版を支える技術として、印刷技術の解説を行った。

岡田秀樹 氏

まず、印刷技術の前段として、情報の加工・複製の歴史について解説が行われた。活字の共有に始まり、グラフィックや音、動画と、共有する情報が高度化していった。そして複製の手法も、技術の進歩も相まって、印刷からインターネットでの共有へと進化したという流れだ。そして印刷技術に話は移り、用語の紹介として活字や組版という言葉の本来の意味について解説があった。特に組版においては、日本固有の縦組みについて紹介がされ、世界の組版における縦組みの異質さ、縦組みならではの難しさについて、紹介がされた。

続いて印刷技術の歴史について紹介があった。1445年頃に活版印刷が発明されたことに始まり、初期は聖書の印刷が多く行われていた。そこから活版技術の進化や、鉛版・線画凸版・樹脂版などの印刷法も生まれ、今日の印刷技術の基礎を築いた。

話題は字体と文字種の話に続き、コンピューターにおける字体・字形の歴史が紹介され、JIS企画の変遷と、Postscriptの仕組みについて、言及があった。どのように文字がコード化されたか、ビットマップからアウトライン構造へのシフトなど、実際に印刷技術の現場に関わられてきた方ならではの話が続いた。

後半は、現在実際にどのような工程と手法で印刷が行われているか、紹介があった。画像入力→フィルム出力→レタッチ→文字組版→色分解→レイアウト、と一般的な流れが解説があったのだが、特に色分解のパートで、画像の色味を基本4色で再現再現する、再現技術の話は、多くの学生が前のめりで耳を傾ける、学生の興味の高さを伺えた内容だった。そこから印刷方式の話題に移り、オフセット印刷、グラビア印刷、オンライン印刷、それぞれの仕組みの解説、利点と欠点、実際にどのような出版物で、それぞれの方式が使われているか、紹介が行われた。最後に印刷に携わってこらえた方からみた、電子書籍の捉え方について、紹介と質疑応答が行われた。

​本授業では、出版や紙というものに興味がある学生が多く集まっているのだが、そんな学生達にとってもあまり知ることのできなかった、出版の裏側、印刷の現場を扱った、貴重な会であった。

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