第3回 世界のマンガ

開講日: 2019年4月23日

​講師:吉井順一

第3回のマンガは、海外のマンガの変遷に関する講義を吉井順一氏より行われた。
映画や映像表現の分野に関わらず、マンガにも当時の社会背景や思想が大きく反映されている。当時のマンガを実際に手にとって読んでみると、1960年代から80年代にかけて、ベトナム反戦やアンダーグラウンド、パンク・ロックなどの思想が大きな影響を持っていたことがわかる。
2000年代に社会が「アナログからデジタルへ」と変化していくにつれ、マンガでもデジタル化の動きが進んでいく。

Bande Dessinéeはべルギー・フランスなど中心とした地域の漫画のことである。略称はB.D.と呼ばれている。フランスの漫画界を代表する漫画家メビウス・アイザックの作品は、コマ割りが少なく、色付きでかつ細かいところまで書かれているため、日本からすると「作品集」に近いものと言われている。
一方で、西部劇を描いた『ブルーベリー』はコマ割りが細かく、背景にモノクロ描画がなされているなど、現在のマンガに近い作品も存在している。
近頃のフランスのマンガの中には、セリフが存在しない制約の中で表現されたマンガが出版されるなど、フランス独自の進化を遂げている。

アメリカン・コミックスには"Comic Code”が存在していた。戦後冷戦期に当時の業界が自主規制的に運用したもので、性的・暴力的表現を避け、「善は必ず勝つ」というストーリーを推進するといったものであった。現在のコミックはデリケートなグラデーションが使われたりと、進化している。また、アメリカで忍者が人気になっているため、忍者の登場するマンガも増えつつある。

台湾では1960年代に政府の規制が厳しかったため、オリジナル作品は少なかったが、1984年に時報出版公司がマンガコンテストを開催して以降、ローカルな作品も生み出されつつある。

香港・韓国でもかつて模倣作・海賊版が横行していたが、オリジナル作品を生み出されている。しかし韓国では、1997のIMFの危機をきっかけに職を失った若者たちの中で、漫画は借りるものという考えが広まっていった。また、携帯会社などが立ち上がったおかげで、マンガがWebへと漫画が移っていった。 
中国において出版は許可制であり、海外作品への許可が下りないこともある。このため、国内作品を推進する動き、またはWEB公開への転換が進んでいる。

各地域で独自にマンガの文化が広がっているのは、場所による違いだけではなく、出版社の仕組みによる違いがある。日本の出版社は、ジャンルも含めて教会が良くも悪くも緩い。欧米には、明確なJob DefinitionとCriteriaがある。そして、日本は契約よりも作者のマインドを気にするのに対し、欧米では契約に重きを置いている。