第14回 最終発表

開講日: 2018年1月26日

​講師: 村井純、加藤文俊

講義最終回となる今回は、立候補した7つの班による最終発表が行われた。通常回の講師陣に加え、株式会社メディアドゥから藤田社長、斉藤様、株式会社エブリスタから芹川社長にお越しいただき、厳正な審査とディスカッションが行われた。

発表において高い評価を得た3つの班を中心に、最終回の模様を紹介する。

村井純 環境情報学部教授

加藤文俊 環境情報学部教授

5班:NEXT PAGE.

5班が注目したテーマは、紙の本が持つ「質感」や、経年劣化による自分の本だけの「味」を、どうやって電子書籍にもたらすか、というものだ。そこで5班が考案したのが、紙の本に挟むクリップ式のプロジェクターである。これを白紙の本に設置し、書籍の内容を投影することで、あらゆる書籍を1つの白紙の本で読書可能にする。

購入した電子書籍のデータをUSBメモリに入れ、プロジェクターに接続、これが紙の本に投影される仕組みである。プレゼンの中では、実際にPCとの接続を必要としないプロジェクターや、超小型のプロジェクターなどが紹介され、技術的な観点からも実現可能な製品かどうか、検証がなされていた。

詳細な使用方法として、電子黒板やタブレット端末などで使われるデジタルペンを用いることで、投影された文章に文字を書き込むことができ、それをデータとして保存できる使用法が紹介された。

​製品やサービスに対する詳細な作り込みと、検討がなされ、班のメンバーの紙の本に対する愛が感じられた内容だった。

10班:本の家系図

10班は中間発表から一貫して、「自分の読んだ本のリストが、自分を表す指標になるのではないか」、という視点からアプローチを続けてきた。中間発表では、自分の部屋の本棚を共有し、本好きのユーザーが繋がっている事例が紹介された。

また、実際のデータを用い、電子書籍をめぐる今後のトレンドと、ユーザーが求めているニーズについて詳細な考察がなされた。それによると、年代によらず電子書籍と紙の書籍の共存をユーザーは予測しており、現状どちらを選ぶかは各個人ごとの理由で決定されていて、特定の強い要因は見られなかった。しかしながら紙の本に愛着を持ち、よく書籍を読んでいる人々に共通するニーズとして、自分が良いと思った本をシェアしたい、という欲求がある点に、10班は注目した。

そこで彼らが提案したのが、本の家系図というものである。現在書店では、筆者の名前ごとや、漫画や小説といった体裁の種類ごとに陳列されている。しかし彼らはこれが分かるづらく、また、SNS上でシェアする時に扱いづらいと考えた。そこで、「悲しい時に読みたい本」「元気を出すための本」という具合に、書籍の内容・シチュエーションなどでジャンル分けし、家系図のように管理する。自分の本の家系図をシェアすることで、その人自身が表現できたり、自分と似た家系図の人と繋がる、家系図から新しい本に出会うことができるなど、家系図を中心にした新しい書籍共有プラットフォームを構想していた。

36班:電子雑誌の価値向上

36班は、電子書籍の中でも電子雑誌に注目し、その価値をいかにして向上させるかに取り組んだ。

まず近年の書籍全体の販売数に触れると共に、電子書籍市場で圧倒的に売上を伸ばす漫画に対し、近年は休刊・廃刊になることが多い雑誌が販売が落としている理由について考察した。一方で今まで雑誌が担っていた機能をWebメディアなどで代替され始めている事例が紹介され、雑誌で扱うコンテンツは衰えていないことを示した。

​そこで、MERYなどに代表されるような、若年女性向けをターゲットにした、新しい電子女性誌が提案された。これまで雑誌の編集部と読者の直接の関係により、読者の意見を取り入れて製作されてきた女性誌を、SNS機能を介して読者と繋がり、編集部とも読者同士でも繋がることができるプラットフォームとして生まれ変わらせるという内容だった。

実際に彼らが描いているプラットフォームに近い事例として、NewsPicsに触れ、編集部と読者が自由に繋がり、プラットフォームを盛り上げている実状が紹介された。

​プレゼンの中で自分達で製作したデモムービーを公開するなど、プレゼンに対する強い意気込みが見られ、また審査員も関心するほどの雑誌への愛を感じられた発表だった。

最後に、村井先生から今回の寄附講座が開設された意図と、そこにかけた想いが語られ、一人でも多くの学生が出版に興味を持ち、出版社に入ったり、出版に携わることで、出版の未来を創っていって欲しいというメッセージが語られた。また、来期開校される、同じく寄附講座の「マンガ」という授業についても紹介がなされ、14回に渡るこの寄附講座を締めくくった。

村井純 環境情報学部教授