第2回 出版の歴史

開講日: 2018年9月25日

​講師:吉井順一

パブリッシュ(公にすること)とは、ニュース・アーカイブ、海外出版事情

第2回となる今回は、出版の歴史と題し講談社の吉井順一氏より講義が行われた。

吉井氏は1980年に講談社に入社、編集者として『PENTHOUSE』『FRIDAY』『VIEWS』等の創刊メンバーに加わる。その後デジタル事業局長などを務め、電子書籍関連の会社の立ち上げにも多数携わった。

 

【「出版」の歴史】

現代の「出版」の役割は、単に書籍の印刷・流通にとどまらず、雑誌、地図、音楽、ゲーム、映像などコンテンツ産業一般に関わるものとなった。本講座では、これらコンテンツがデジタル化による変容の先にどうなっていくかを考えていく。

 

1450年代、ヨーロッパではヨハネス・グーテンベルクによって活版印刷が発明された。「複製」の手段として、音声や画像に先立って文書の印刷が始まった。


こうした時代の出版物は、例えば宗教改革におけるパンフレット、政治的なアピール、科学的な発見など、社会の変革に大きく関わるものも多く、当然危険も伴うものであった。

製紙技術、印刷技術、製本技術の発展に伴い、安定かつ大量の出版が可能となった。ISBNコードの導入は、書籍流通の仕組みを大きく変革し、現代に受け継がれている。

 

現在のような「原稿料(いわゆる印税)」が確立される以前、原稿は作家からの買い切りという形で取り扱われていた。また、作家と出版社の関係も不安定で、著作権で当時守られていたのは著者ではなくむしろ出版社のほうであった。


「作品の売れ行きは賭けのようなもので、失敗もあるはずだがどうやってバランスを取るのか?」(加藤教授)

 

「経験に基づいた判断をするほかない。以前は売れ筋とは関係なく『作家の(活動継続の)ために』出版した本もあった。現代は発表の場が多様化し、例えばコミックマーケット等の同人誌即売会やインターネット上の活動を通じて収入を得ることも可能になった。むしろ出版社はこうした場から才能を見出していく必要がある。プロは質×量。これからも変わらないことは、才能を発掘してその才能を回していくこと。」(吉井氏)


【「情報」と「物語」】

自分の意に沿わないことを冷静に読める人間は少ない。エビデンスが無いものは自由に発想ができる物語。


口承文字(作者不在)から文字の発明によって記録ができるようになった。

 

報道と評論は別物。言論の自由と報道の自由は別物。

週刊誌の仕事を通じて間違ったことはあるがうそを書いたことは一度も無いと思っている。間違った時は謝罪をする。

 

【出版は全世界でも不況業種なのか】

例えば、エンドユーザーとの接点である書店が少ないが、日本よりドイツのほうが紙の書籍売上はコミックを含めて多い。ドイツは出版社協会は営利法人としてデータを集めている。それを書店やパブリッシャーに提供している。

【欧米と日本の出版の違い】

専門書出版社の寡占化・上位独占が進む。欧米では初版を0部とし、まとまった注文があった時点で出版する手法がとられる。再販・委託制度の存在も大きい。価格拘束があり返品可能な日本や期間を限って価格拘束を行う欧州に対し、英米では規制が行われず流通が価格を決定するなど、地域によって事情が異なっている。欧州では電子書籍に対しても価格拘束がある。