第2回 出版の歴史

開講日: 2019年10月1日

​講師: 吉井順一

第2回となる今回は、出版の歴史と題し講談社の吉井順一氏より講義が行われた。

吉井氏は1980年に講談社に入社、編集者として『PENTHOUSE』『FRIDAY』『VIEWS』等の創刊メンバーに加わる。その後デジタル事業局長などを務め、電子書籍関連の会社の立ち上げにも多数携わった。

 

・出版の歴史
グーテンベルグによる活版印刷の開始が出版印刷業のスタートであり、「複製」は音声や画像に先立ちテキストや図版から始まっている。過去の出版においては新発見の拡散を目的とした啓蒙、宣伝のために利用される側面があり、現代のSNSと似たような利用をされていたが弾圧や規制なども多く発表にコストやリスクが現代の出版より非常に高いものだった。製紙技術、印刷技術、製本技術の発展が出版を可能にした。

 

・パブリッシュ(公にすること)とは
publishの範囲としては書籍、雑誌、地図、音楽、ゲームソフト、映像などが含まれる。本講座としては紙の書籍、雑誌に拘らずに自由に描かれる未来、ウェブへの広がりを視野に進めていく。

文庫、単行本には解説、コミックスには纏めて読める、収蔵などのメリットがある。電子書籍には検索性、持ち運び易いなどのメリットがある。しかし電子書籍ならではの付加価値が付けきれていない。知らない本、なんとなく本に出会うことが電子書店にはあまりない。

 

・紙とアーカイブ
著作物を広め、出版していく中で当初は出版社を守るために著作権が存在した。
印刷するための判子の所有権は印刷会社に存在する。電子化の波に伴い印刷会社に対して中途作成物に対しても対価を払うように変化していったため電子辞書が普及した。

 

・出版は不況業種なのか
ベストセラーは誰が買う? 普段本を買わない人がテレビの情報や口コミで買うから売上が伸びる。
再販?委託制度がうまくいかないとベストセラーの売上回収が間に合わずキャッシュフロー上倒産してしまうことがある。この制度上の危うさも現状の出版不況に繋がっている。

 

・欧米と日本の出版の違い
専門書出版社の寡占化・上位独占が進む。欧米では初版を0部とし、まとまった注文があった時点で出版する手法がとられる。再販・委託制度の存在も大きい。価格拘束があり返品可能な日本や期間を限って価格拘束を行う欧州に対し、英米では規制が行われず流通が価格を決定するなど、地域によって事情が異なっている。欧州では電子書籍に対しても価格拘束がある。