第12回 エクスカーションのふりかえりと最終成果物について
開講日: 2019年7月2日
講師: 加藤文俊、佐藤雅明、吉井順一
佐藤先生を中心にヤングマガジン編集部と豊国印刷へのエクスカーションについてのふりかえりをおこなった。履修者からもコメントをもらいつつ進められ、『バクマン』の世界がリアルに広がっていたとの声があがるほど、編集部の内部に実際に足を踏み入れたことで得られた、マンガの制作についての学びが全体に共有された。編集部は「漫画家と編集者が一緒に作品を作り上げていく現場である」ということが印象深かった点のひとつとしてあげられ、一人の作家に対して、担当編集者をどんどん変えていくことによって、よい作品を生み出していくという文化があるとのこと。マンガ雑誌の利益率は高くはないが、あくまで作品のカタログ的役割を担い、雑誌でマンガに触れた読者を、単行本の購入へと誘導することを目的としている一面があるという。原稿がネット経由で送られてきたり、メールで互いにいつでも連絡が取れたりすることで、作家と編集者との関係性が変化している部分もあるが、最終的には対面でのコミュニケーションが重要となってくるといった吉井さんからのコメントもふまえて、ふりかえりの話が続いた。
豊国印刷への訪問では、吹き出し内への文字入れ作業や、電子出版のためのコマ分割、校正など、輪転機での印刷以前にも、ものすごい数の作業があることを目の当たりにし、作家と編集者のほかにもたくさんの人手がかかって、マンガができあがっていることを実感できたとのこと。週刊誌の場合は毎週それらの作業が繰り広げられている。その背景では、作業スケジュールを印刷の都合ではなく、マンガの発売に合わせていることによる、作業量の偏りが発生。「作業量のピークとアンダーの差が激しい現場であり、好きな人だからこそ続けられる仕事である」と吉井さんからのコメントがあった。
最終成果物の冊子については、入稿データの作成上の注意、制作上の基本ポリシーについて、加藤先生からの説明があった。