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第9回 出版を語るときに僕が語ること

開講日: 2019年12月3日

​講師: 新潮社 寺島哲也氏

第9回となる今回は、「出版を語るときに僕が語ること」と題し、新潮社の寺島哲也氏より講義が行われた。


寺島氏は慶應義塾大学経済学部卒業後、新潮社に入社。週刊誌記者、単行本の編集を経て、広告に携わり、現在は村上春樹作品などの舞台化や、文学による国際交流の推進を手掛けている。

編集者は、作家の書きたいことをそのまま前に進める、作者の鏡になることができる点に魅力がある仕事であり、「本物」を伝えたい、時代を切り開く才能を支えたいという思いで取り組んでいる。週刊誌と小説の仕事の違いについては、例えば事実と真実、善と悪といった概念の境界領域に存在している「大事なもの」をその時代の空気感とともに描写することができるのが小説の表現であり、説明が必要な報道では難しいところといえる。また、小説ではこうした表現を感じ取ることができるかどうかは読者次第といえる。


担当した作家のひとりである村上春樹氏にかかわる仕事については、読者交流サイト「村上さんのところ」が紹介された。これは、

2015年に行われ、読者からの素朴な質問を特設されたウェブサイト上で募り、村上氏が回答、サイト掲載や書籍化を行う企画だった。3万7465通の質問が寄せられ、反響を呼んだ。このような当時としては異色の企画について、短い期間での準備・運営の進め方やユーザー層の分析について話された。

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